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「家に戻ってふだんの暮らしを」望む妻に医師が余命宣告 - 朝日新聞社

妻ががんになり、記者である僕への料理指導が始まりました。臨床試験の薬物投与が中断する中、常備菜作りへの挑戦が始まります。妻のブログのイラストとともにつづります。

僕のコーチはがんの妻 第10話(全16回)

 2018年3月9日、臨床試験(治験)の薬物投与が始まった。しかし、5日後には肝臓の数値が悪化して中断した。通常の治療なら一定程度落ち着いたら再開するが、治験の場合は、入院時の数値に戻らなければ再開できないという。

 治療開始までの検査に時間がかかり、中断も多い。その間にがんが大きくなってしまう。治験の選択は正しかったのか? でも同じ選択をもう一度迫られたとしても、わずかでも完治の可能性がある治験を選ぶような気がする。

 20日、治療を再開できないまま退院した。

 その日は、サンマとサラダ、ホウレンソウの白あえなどを妻がつくり、食卓は花が開いたように華やかだ。

 僕が「あんたの入院してる2週間、毎日おかずを自分でつくったやんか。そろそろ免許皆伝ちゃう?」と、うかがいを立てると、「ぜーんぜんダメ。常備菜もできんやつが片腹痛いわ!」。それで、翌日は常備菜の切り干し大根に挑むことになった。

 大根を切っていると、「指を切りたいんか? 左手はネコの手!」。フライパンをハシで混ぜていたら「クツクツいじるだけで混ざっとらん。上下が入れ替わらんと意味ないやろ」。完成したころにはクタクタ。「主婦の大変さがわかったか。常備菜だけやないで。献立を自分で立てられるようになってから大口たたけ」

 治療中断が長引くにつれ、乾いたせきが増えてきた。27日に服薬を再開すると、おさまった。

 30日、淀川や大川沿いを散歩した。満開の桜が雪のように舞う。口には出さないが、「最後の花見かも」とお互いに感じている。ベンチに座り、かつて勤務した能登(石川県)の友人にいただいたイワノリのおにぎりをほおばった。

 夜は、タケノコごはんや小松菜の湯葉あえ、野菜スープを妻がつくり、輪島塗の器でいただいた。

 妻は日記にこう書いた。「一日中歩きまわった。息切れもなく体の痛みもない。桜は満開。夜は満月。先の不安は考えまい。他の誰かにとっては最悪の一日だったかもしれないけど、私にとっては神様がくれたすばらしい一日」

 だが、そんな穏やかな日は数日…

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December 28, 2019 at 02:00PM
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