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「いつか故郷に家を」「真備での再建に意味」 1年半たった今人々は 西日本豪雨 - 毎日新聞 - 毎日新聞

 甚大な被害をもたらした2018年7月の西日本豪雨で最初の大雨特別警報が出てから、6日で1年半を迎えた。毎日新聞がこれまでに取り上げた被災者や遺族を改めて取材し、それぞれの復興への歩みを追った。

真備に建てた新居、真面目で頑固だった父に思い

 西日本豪雨で両親を亡くした梅田典子さん(45)。水没した岡山県倉敷市真備町地区の実家は解体せざるを得なくなったが、2019年11月、その跡地に新しく家を建て、夫(48)と長女(22)とともに生まれ故郷に帰ってきた。「懐かしいけれど風景は変わってしまった。まだまだ復興は途中。今の真備を知ってほしい」と話す。

 「命はあっという間に無くなってしまう。(両親が亡くなった年齢まで)あと30年。好きなことをしよう」。これまで地区外で暮らしていた梅田さんは元々、「いつか故郷に家を建てたい」と考えていたといい、豪雨災害をきっかけに計画を前倒しすることを決めた。新しい家は基礎を約50センチかさ上げし、2階部分はすぐ裏手にある小田川の堤防より高くした。

 周囲では避難などで地区外に出て戻って来られない人も多く、小田川の堤防拡幅工事も具体的なスケジュールは決まっていない。世間の関心が薄れ、報道も少なくなる一方で、テレビでよく見る被災直後の町全体が泥水につかっている映像には複雑な思いを抱く。「何度も同じ光景を見せられ、時間が巻き戻るような思い。1年半たった今を伝えてほしい」と話す。

新居で両親の仏壇に手を合わせる梅田典子さん=岡山県倉敷市真備町服部で2019年12月12日、林田奈々撮影

 新居の一角には父山邊槙男さん(当時75歳)と、母弘子さん(同74歳)の写真を飾った仏壇がある。以前は夫の実家に暮らしていたため置けなかったが、新しい家で落ち着いて手を合わせられるようになった。最近、梅田さんが戻ったと知った槙男さんの知人が、18年の同窓会に出席した槙男さんの写真を持ってきてくれた。わずかに残った写真の中で、一番新しいものだった。真面目で頑固な性格だった槙男さんは、写真の中でも真っすぐ立っていた。梅田さんは今、槙男さんの心情に思いをはせる。「『無理して戻ってこんでええのに』と口では言いながら、内心はうれしいんじゃないかな」【林田奈々】

建設中の新店舗で工事の進捗を見守る「さるや」店主の柴田勇樹さん=岡山県倉敷市真備町箭田で2019年12月24日、戸田紗友莉撮影

建設中のうどん新店舗「あの快感をまた」

 昨年12月下旬、建設中の新店舗の中で、感慨深く工事の進捗(しんちょく)を見守った。「とても長かった分、多くの人に出会い、違う世界も見せてもらってプラスになったことも多い」。倉敷市真備町地区でうどん店「さるや」を営んでいた柴田勇樹さん(39)は、1年半をこう振り返る。

自宅ガレージにテントを張って仮営業していた時の店舗=岡山県倉敷市真備町箭田で2018年10月16日、戸田紗友莉撮影

 2011年7月に開店し、売り上げも軌道に乗ってきた矢先の豪雨だった。自宅も浸水被害を受け、一時は転職も考えたが「『おいしい』と食べてもらう快感をまた味わいたい」と、18年9月から自宅ガレージにテントを張って仮営業を開始。昨年5月からはコンテナに場所を移して9月末まで営業を続けた。

 店内で手打ちした太めでコシのある麺と揚げたての天ぷらが売りだったが、仮営業では設備の関係で提供できなかった。被災前の店舗を含めた地区内の貸店舗の多くは復旧のめどが立たず、借りられなかった。それでも「真備で再建することに意味がある」。自宅の改修と、近くの更地を借りて新店舗を構えることが決まったのは10月。被災した中小企業を国や県が支援する「グループ補助金」などの補助金制度を利用し、急ピッチで工事が始まった。

 新店舗は、今年2月末から3月初旬までにオープンする予定。席数は被災前より半減し、駐車スペースも少ないためメニューを絞り、持ち帰り商品も充実させるつもりだ。自慢の手打ち麺や、人気だった天ぷらの盛り合わせ、エビ天うどんは被災後初めて復活する。「被災後に知ってもらったお客さんを『こんなにおいしいんだ』と驚かせたい」と期待を込める。

 再起に歩み始めたが「ちゃんと生活できるようになるか不安は尽きない。勤めに出た方がよかったのか迷いだらけ」と打ち明ける。それでも「可能性があれば店を大きくしたり、多店舗展開もしたい。新店舗でその足場を固めたい」と先を見据えている。【戸田紗友莉】

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January 06, 2020 at 07:55AM
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