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専門家が語る、2020年サービスマネジメントの最前線――デジタル・ヒト・組織 - EnterpriseZine

「ビジネス」と「IT」という区切に終止符を

IT VALUE EXPERTS 代表取締役社長 広木共郷氏(写真右奥)
特定非営利活動法人 itSMF Japan理事。
ITサービスマネジメントを中心としたコンサルティングを主に国内グローバル展開顧客を中心に提供。
経歴は外資系のIT企業から、コンサルティングファームにも務め、現職。
IT運用やITサービスマネジメントを中心にキャリアを積む。

東京海上日動システムズ ITサービス本部 ITサービス基盤部長 平川歩氏(左奥)
特定非営利活動法人 itSMF Japan理事。
2000年から自社のITサービスマネジメントの構築・運用に関わり、2015年6月にitSMF Japan理事に就任。
現在はITサービス基盤部でメインフレームのインフラ開発及び運用を担当。

加藤氏:本日は特定非営利活動法人 itSMF Japan(以下、itSMF Japan)の理事を務められている2人に、2020年以降のサービスマネジメントが担う役割などについてお聞きできればと思っています。19年11月末にitSMF Japanのカンファレンスがありましたが、感覚的には2018年と比べて変わったところなどはありましたか?

平川氏:大きくトピックは2点ですかね。一つはITIL︎4というマネジメントフレームワークが新しくなったということでそれに関するもの。二つめは業界全体の潮流と同じく、デジタル、DXに関するものです。

広木氏:やはり基調講演から経産省の方がDXレポートの話をしたこともあって、昨年それ以前と比べるとより「デジタル化にどう対応するか」についての講演が多かったですね。特に、ITIL︎4という新しいフレームワークが出てきて、どう変化に対応できるのかという部分への関心が高まっているように思いました。

加藤氏:話題としては18年から出てはいたのですけど、19年はより具体的な活動、実践の紹介みたいなことが増えたと?

広木氏:これまではAIとかSREとか、どちらかというと新しい技術やフレームワークにフォーカスをしてそれぞれの内容の紹介が多かったと思います。徐々に、分科会でも同じくですが、ITサービスマネジメントの観点で実際にどう使うか、活用の観点で俯瞰的に語られることが増えてきたと感じます。

 コンサルティング実務の中でもDXの文脈を取り扱うことは多いのですが、まず大前提として、サービスマネジメントという考え方自体がより重要になってきていると思います。これまでウォーターフォールとかそれぞれ開発に1年かけて15年運用とかいう世界で、どちらかというと開発側のほうが脚光を浴びていました。今は、よりアジャイルに短期間でどんどんサービスを世に出して、改善を重ねることが求められていますよね。日々、サービスをどうマネジメントしていくかが今後さらに重要になっていくでしょう。

 最近だとカスタマーサクセスというキーワードがあらゆる分野で出てきているが、私の感覚からするとそれってサービスマネジメントそのものだと思っています。特段新しい話ではなくて、世の中的にこれまで注目されていなかっただけだと。今はサブスクリプションビジネスとか、顧客体験を運用フェーズから追求していくのが当たり前になってきた。サービスマネジメントをやってきた人たちからするとすごく追い風で良い状況。我々が持っているケイパビリティを多彩な分野で生かせる。

加藤氏:なるほど。広木さんは経産省の活動にも参画されていますが、その中でもサービスマネジメントは注目されてきていますか?

広木氏:まだあまり重要なテーマではないですが、段々と目を向けられ始めているかなとも思います。DXレポートや、後続のガイドラインなどで最近はマネジメントの仕組みに対し徐々にフォーカスが当たり始めている。テクノロジーとか新しいサービスを立ち上げること、DX推進部門を作って新しい技術を使って……というのが思ったより企業の中に浸透していない。その原因はマネジメントの仕組み自体、企業カルチャーやヒト・組織の文脈などにあります。大枠で言うとマネジメント領域に改善の余地があるということに気付いてもらえ始めたかなと。

加藤氏:経産省の活動の中でも、今までのやり方ではダメだ、これから具体的にどうやっていくのか、となった時に、サービスマネジメントをやってきた人間が貢献できることがあるのではないかという感覚ですかね。

広木氏:そうです。具体的な例でいうと予算の管理の仕組み。これまでの予算審議プロセスでは、各システムの投資額とビジネス価値・効果を算定してROIをもとに投資を決めていたわけで、必ずそのシステム投資への評価が入っていましたよね。その際に良いサービスの芽が摘み取られてしまったり、PoCができたので全社展開しようとなった瞬間に投資が止まってしまったり。これまでの既存のマネジメントの仕組み・あり方だけでは対応できなくなっていて、そこにはまっている企業が非常に多いと思います。この辺りは実際にユーザー企業として経験されている平川さんにもぜひ伺いたいのですが。

平川氏:我々の場合、いわゆるSOR領域は、オーソドックスな費用対効果での評価が中心です。しかし最近のデジタル領域の案件は先行投資も含めて価値の評価が非常に難しいですね。現在、デジタル領域に関しては、IT部門だけでなくビジネス部門、経営企画部門、法務部門等が一体となって、スピーディーで適切なデューデリジェンスを行えるようなプロセスを構築しています。

アクセンチュア 加藤明氏

加藤氏:そもそもやるかやらないか、超上流の段階からビジネスとITが密に連携して判断して、その後もスピード感は保ったままやっていくという形ですかね。

広木氏:そういう意味でいうと、11月上旬にイギリスのitSMFのカンファレンスに参加してきたのですが、その中のディスカッションで「ビジネスとITという言葉の使い方を止めよう」ということが提唱されて、結構盛り上がっていました。ITIL︎4で言うところの「コクリエーション(Co-creation)」、価値を共創しようとしたときに、ビジネスとITに切り分けたうえで一緒に集まるという思考自体が違うのではないかということが議論されていた。個人的には腹落ちをしました。まさに平川さんがやられているように、現場単位で見るとビジネスとかITとか関係ないわけですよね。

 一緒に価値を作ろうとした時、様々なステークホルダーがそこに集まって考えるのは今の時代では当たり前。これまでのITサービスマネジメントは「ビジネスに対してITがどう価値を提供するか」として作られていた部分がありました。これは、変化するでしょうし、私もプロジェクトをやりながら、なるべく使わないように意識しています。

平川氏:そこは意識しないと変わらないですよね。

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January 23, 2020 at 06:00AM
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