
猫専門クリニック「Tokyo Cat Specialists」の山本宗伸院長に、寄生虫の危険と対策についてお話を聞いた。
まずは、寄生虫感染の危険度をチェック!
まずは下のチェックリストを確認して、いくつ当てはまるか確認してみよう。 寄生虫には、ノミやマダニなどの外部寄生虫と、蚊が媒介する犬糸状虫(フィラリア)、猫回虫や条虫といった内部寄生虫がある。「家飼いだから大丈夫」と思いがちだが、チェックリストの項目に当てはまれば家の中でも感染するリスクも。 「寄生虫感染症の中には命に関わる危険な病気もある。病状が進むと治療が難しく手遅れになるケースもあるので、予防が非常に大切です」と山本先生は指摘する。
寄生虫予防をしたほうがいい5つの理由
1 寄生虫感染症のなかには危険な病気もある まだあまり認知されていないが、犬の病気として知られる「犬糸状虫症(フィラリア症)」は、猫もかかる。犬糸状虫は蚊を媒介にする寄生虫で、犬と違い、寄生されたとしても体内で繁殖せずその数が少ないため、診断が難しい。しかし、まれではあるが突然死の可能性も。 「呼吸が速くなるなどの症状が出ることが多いが、ほかの呼吸器系の病気との見分けが難しいのです」(山本先生) 2 寄生虫を完全にシャットアウトするのは難しい ドアや窓を開けっ放しにしなくても、家の中をどんなにきれいにしていても、外出から戻った人間の靴底や服にくっついてくるなどにより、室内でノミが増殖したり、猫にマダニが寄生する。フィラリアを感染させる原因となる蚊も、高層階までは飛んでこないと言われてはいるが、エレベーターで運ばれることも。 「どんな環境でも寄生虫の危険は必ずあると考えていい。家飼いだから安心、ということはありません」(山本先生) 3 自然の多い場所だけに寄生虫がいるわけではない 飼い主がキャンプや畑など自然の中で活動することが多い場合、リスクは当然高まるが、必ずしもそれだけではない。最近の住宅は気密性が高く、エアコンなどで年間を通して温度や湿度が一定に保たれている家が多い。 「人が快適な室内の温度や湿度は、ノミにとっても住みやすい環境。一度家の中に入ってしまえば、そこで増殖を繰り返すのです」(山本先生) 4 多頭飼育・多種飼育している場合はうつしあってしまう 多頭飼育で、寄生虫駆除をしていない元野良の保護猫を迎え入れたケースでは、先住猫たちに移してしまうことも。また、一緒に犬を飼っていると、お散歩のときにノミやマダニが体にくっつき、家の中に持ってきてしまう場合もある。 また、内部寄生虫である猫回虫は虫卵を含む糞便をなめることで体内に入る。公園の砂場は外暮らしの猫がトイレ代わりに使うことがあり、子供を遊びに連れて行くなどする猫の飼い主は、要注意だ。 「ノミやマダニ同様、感染した動物の糞便も人の靴底や洋服、散歩中の犬の足につくなどで家の中に持ち込む可能性もある。多頭飼いで同じトイレを使って移し合ってしまうケースもあります」(山本先生) 5 猫への負担が少ない薬で簡単に予防することができる 症状が出にくい、出たときには手遅れという事態を避けるためには、予防が必須。山本先生のオススメは、猫の肩甲骨の間に垂らすだけでノミ、マダニ、フィラリア、内部寄生虫である猫回虫や条虫の予防と駆除ができるオールインワンタイプの薬剤だ。 「経口タイプは苦手な猫が多く、嫌がる猫に投薬するのは飼い主さんもしんどい。滴下タイプで、さらに一つの薬剤ですめば、猫にも飼い主さんにとっても最低限のストレスですみます」(山本先生)
定期的な寄生虫予防は健康チェックにつながるかも
予防薬を処方してもらうために病院へ行けば、全身の健康チェックにも。 「特に高齢の猫は寝ていることが多く、不調が見抜きにくい。寄生虫予防を習慣にすることで、ほかの病気の予防や早期発見にもつながる可能性があります」と山本先生は話している。 ノミやマダニ、蚊などの虫が一気に増えるこの季節。年に一度はこの時期に病院に行くことを習慣にすれば、愛猫も快適で健やかに過ごせるに違いない。
sippo(朝日新聞社)
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June 13, 2020 at 01:30PM
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