
福岡市中央区の料理家、
桧山さんは、1961年に同市内で料理教室を開き、旬の食材を使った家庭料理の大切さを伝えてきた。本では、幼少期の思い出や、料理を仕事にするまでの道のり、日々の暮らしで幸せに思うことなどを書いている。小学校高学年以上の子どもや親子に読んでもらうことを想定し、土鍋でご飯を炊く方法や、おにぎりの握り方も掲載。「便利な時代になったが、子どもたちには手と頭を使って料理してほしい」との思いを込めた。
出版は今年2月、市立舞鶴小の4年生の授業で話をしたことがきっかけ。同校は、桧山さんの母校の大名小が2014年に近隣校と統合されてできた小学校で、外部の人を招いて仕事の話を聞く時間があり、児童から「桧山さんに来てほしい」という声が上がった。
授業では、「90歳を超えても料理家を続ける理由は」との質問に「こんな楽しいこと、やめられない」と答えるなどのやりとりがあった。熱心に話を聞く児童の様子を見て、「私にはもっと子どもたちに伝えたいことがある」と感じ、本にまとめることにした。
本には、子どもを励ますエピソードも盛り込んだ。5歳の時、一人でホットケーキを焼こうとして、失敗した経験を紹介。鍋を使うことを思いつかず、練炭に置いた網に生地をたらして焦がしてしまった。母親は笑いながらホットケーキを作ってくれたと振り返り、「たくさん失敗してもいい。その経験が確かな力になる」と書いた。「クヨクヨする時間はもったいない」「感謝の言葉は相手も幸せにする」など、経験から学んだ言葉もちりばめた。
長年続けてきた料理教室は、負担を心配した家族らの勧めで終了した。今後は、弟子たちが開く料理の勉強会に参加しながら、無理のないペースで料理と向き合っていくという。「この本が、未来を夢見る子どもたちの役に立てばうれしい」と桧山さんはほほ笑む。
四六判、160ページ。1400円(税別)。全国の主要書店で販売されている。
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December 17, 2019 at 03:00AM
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93歳・料理家、子ども向け本 前向きな生き方つづる - 読売新聞
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