大イチョウ隣の家移動中 有田の天然記念物保全 - 佐賀新聞

移転前（★）の写真と比較すると、民家の向きが変わったことが分かる。今後さらに移動する＝有田町泉山　

曳家を始める前の大イチョウと民家＝２０１０年６月撮影

バトン状のローラー「コロ」を回転させて民家を移動

　有田町泉山にある国の天然記念物「有田の大イチョウ」のすぐそばで、民家を家ごと持ち上げて移動させる曳家（ひきや）作業が進められている。樹齢千年といわれる巨木の生育管理に敷地を利用するためで、これで枝の落下による民家の破損被害の解消にもつながる。専門業者が建物を地面から持ち上げ、慎重に作業している。

　一連の作業は１２月初旬から開始。大イチョウの南側にある民家を、敷地内の北東側に２０メートル移動させる。１メートルほどの高さに木材を井桁に組んだ上にレールを敷き、バトン状の金属パイプ「コロ」が転がる力を利用、家を引っ張ったり、回転させたりする作業が少しずつ、進められている。

　新しい基礎造りや民家の修復作業を経て、移転が完了するのは７月末の見込み。民家に住む６０代の男性は、近くで仮住まいを余儀なくされているが「家が動くことで家の下に伸びていた根の生育を妨げなくなり、屋根への枝落下の心配もなくなる」と曳家の効果を語り、作業を見守っている。

　民家は枝の落下で屋根に穴が開くなどしていたが、文政の大火（１８２８年）以前に建てられた国の文化財で、文化財保護法により解体できなかった。町が大イチョウの保存のために国や県の助成を受け、民家の土地約２００メートルを購入し、事業を進めている。

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February 05, 2020 at 08:00PM
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