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2035年までの極東発展プログラムに現地専門家は厳しい評価(ロシア) | ビジネス短信 - ジェトロ(日本貿易振興機構)

ロシア連邦政府は9月28日、極東地域の経済・新技術開発の加速、住民の生活向上と人口流出の防止を目的とする国家プログラムを公表した。連邦・地方予算のほか民間資金も導入するが、各事業の執行や経済効果を疑問視する声もある。

具体的な方策として、a.ウラジオストク自由港制度(2015年7月31日記事参照、注)の優遇制度対象地域を極東全域に広げること、b.シベリア鉄道とバイカル・アムール鉄道の輸送能力を引き上げること、c.輸出促進に向け外国の専門家と協力し地元産品に海外の認証を取得させる認証センターを設立すること、などが掲げられている。

また、新技術開発を目的としたウラジオストク南部のルースキー島での研究開発センターの設立、ハイテク事業への税制優遇も盛り込まれた。このほか、医療・教育・スポーツ施設の整備、出産・子育て環境の改善などが記された。さらに、連邦構成体別の事業として、輸送インフラや温室栽培施設整備、エネルギー資源加工関連事業などが挙げられた(添付資料表参照)。

極東の各連邦構成体が策定した重点的社会発展計画に基づき、2018年以降に教育・医療・スポーツ施設の整備を進めたものの、経済成長の加速や生活の質の向上には十分に寄与していない、と評価されたことが背景にある。本プログラムは、プーチン政権の公約である「国家プロジェクト」(2019年2月12日記事参照)と連携し、15年をかけてこれらの課題を解決する。

現地通信社「アムールメディア」は、10月8日に今回のプログラムに関する討論会を開催した。ハバロフスク国立経済法科大学のウラジミル・ノリン准教授は「これはスローガンを集めたものに過ぎず、資金の裏付けもない。効果は上がらず、国の資金が民間のポケットに入るだけだ」と厳しい評価を下した。大統領府付属ロシア国民経済・行政アカデミー極東支部のニコライ・バイコフ教授も「(プログラム文書には)多くの課題が残る。達成指標、達成方法、実施主体が不明だ」とし、執行面の課題を指摘した。

プログラムの正式名称は「2024年までの極東社会経済発展国家プログラムおよび2035年までの展望」(2020年9月24日付連邦政府指示第2464-r号)。2020年6月26日付大統領令第427号「極東地域の社会経済発展策」に基づき作成されたもの。プログラムの原資には、連邦予算と地方予算のほか、民間資金を含む予算外資金が充てられる。極東北極圏発展省が中心となり、今後2カ月以内に実施計画案が作成される予定だ。

(注)現時点で自由港の対象地域は沿海地方の16の行政地区、ハバロフスク地方とサハリン州の各2つの行政地区、カムチャツカ地方とチュコト自治管区の各1つの行政地区。

(タギール・フジヤトフ、浅元薫哉)

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October 18, 2020 at 10:32PM
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