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コンパクトな間取りでも収納はたっぷり。私らしい一人暮らしの住まい - 朝日新聞社

Iさん(女性38歳)
東京都目黒区/42.75平米 総工費約800万円

独身で家を購入するときには、夢を見すぎず、現在も将来も考えて現実的な物件を選ぶことが多いのですが、今回のIさんも立地のいい場所に42.75平米のコンパクトな家を購入しました。1人で住むのにはちょうどいい広さで、掃除もラク。立地のいい場所なら将来引っ越しをしたとしても、賃貸や売却がしやすいメリットがあります。

Iさんのきっかけは、リノベーションをした友人の家に遊びに行き、「こんなすてきな暮らしができるなら、リノベーションはいいかも」と思ったことでした。その後、物件選びを開始しましたが、「どんな暮らしをしたいのか」がまだはっきりしていなかったためか、たくさんの家を見ても「どれもピンとこない」と決められませんでした。

そこで、いったん物件探しをお休みし、ご自分の希望をしっかり考えてから再スタート。「ここに住みたい!」という理想の家が見つかりました。

Iさんのリノベーションの希望は、趣味の山登りのグッズ、洋服、靴、暮らしの道具などがストレスなく収納できることでした。そこで、玄関入ってすぐの、元々は4.5畳の部屋だった場所を広めの収納スペースに。山登りから帰ってきてすぐに収納できるようにするなど、合理的なつくりになっています。

コンパクトな間取りでも収納はたっぷり。私らしい一人暮らしの住まい

エントランスすぐのクローゼットはクツやカバンだけでなく趣味の登山グッズも収納できる

コンパクトな家の場合は、部屋をできるだけ広くしたいと考えがちです。その結果、収納が少なくなり、ものが出しっ放しになって居心地が悪い部屋になることがあります。また、ひと部屋を収納用にと考える人も多いと思いますが、収納に使うと考えるなら、がらんとした部屋よりも棚などを造作した収納スペースのほうが、ずっと使いやすいと思います。

コンパクトな間取りでも収納はたっぷり。私らしい一人暮らしの住まい

廊下とリビングの間には型ガラスのモールドア。やわらかな光がエントランスまで差し込む

家に合わせるのではなく、まずは自分がどんなふうに暮らしたいかを考えることが大切です。リノベーションは自分の暮らしに合わせることができるので、Iさんのようにあえて収納を広めにしてもいいのです。広々と使いやすい収納があれば、リビングダイニングに余計なものがはみ出してくることがないし、出したりしまったりする作業がラク。暮らしのストレスが少なくなります。

もちろん、Iさん宅にはコンパクトなお宅ならではの工夫もあります。その一つが、寝室を作らずにリビングダイニングの一角に、床から70センチほど高くしたベッドを造作したこと。その上にマットレスを敷いています。容量の大きいものをしまう場所が欲しいとの希望もあり、70センチのベッド部分は収納にもなっていて、友人の宿泊用の布団などをしまっています。

コンパクトな間取りでも収納はたっぷり。私らしい一人暮らしの住まい

2段ベッドのように床を上げたベッドスペース。下は布団がしまえるくらいの収納

さらに、リビングダイニングと仕切るために部分的に壁を作ったので、友人が来てもリビングダイングから丸見えになりません。ベッドスペースとして、独立した雰囲気にもなっています。

この家に暮らし始めてから友人が訪ねてくることが多くなったと、Iさん。料理好きの友人がキッチンで料理をし、片づけまでしてくれるそう。コンパクトながら、スッキリと居心地のいい住まいになりました。

コンパクトな間取りでも収納はたっぷり。私らしい一人暮らしの住まい

I型のキッチンの背面には造作収納。キッチン家電や食器を使いやすく配置

Iさんに聞く
リノベーションQ&A

1.リノベーションをして、生活が変わりましたか?

「帰ってから何をしよう?」と、家中心のプライベート時間を過ごすことが多くなりました。予定がない平日はなるべく早く家に帰り、キッチンに立つようになったのもリノベーションによる生活の変化だと思います。

2.リノベーションのプロセスで楽しかったことは?

ブルースタジオさんは何でも相談にのってくださるので、逆に自分が本当はどうしたいのか、家でどう過ごしたいのかを初めて真剣に考えました。また、住宅購入にあたり、お金と正面から向き合うことになり、それも自分自身を成長させてくれたと思います。

購入前に、施工済みの物件見学をさせていただけたことは、具体的にイメージできてとても有意義でした。

3.自分が想像していた以上のことはありましたか?

窓からの景色も気に入って物件を購入しましたが、住んでみると想像以上に癒やされています。季節の移り変わりを日々感じられるのも楽しみで、特に桜のシーズンが待ち遠しいです。

できるだけ収納をたくさん作って欲しいとお願いしましたが、ありがたいことに持て余しています。あえて、置かない、詰めない余裕を楽しみたいと思います。

コンパクトな間取りでも収納はたっぷり。私らしい一人暮らしの住まい

リビングの窓からは目黒川の桜が目の前に広がる

(構成・文 大橋史子)

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    PROFILE

    石井健

    「ブルースタジオ」執行役員
    1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
    ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
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